ギーベンラートの部屋

ヘッセと共に 本当の自分を求めて

ギーベンラートとは、ドイツの文豪ヘルマン・ヘッセの小説「車輪の下」に登場する少年の名前。

 ギーベンラートの部屋は、嘗て若かったころ、少年時代に戻る部屋。誰にも邪魔されないで、一人この部屋に佇んでいると、少年時代のあの日あの時の夢の世界が蘇って来ます。

 

ヘルマン・ヘッセに思いを寄せて

 中学三年生の一学期、期末試験が近づいていたある日の放課後、駅前の小さな本屋さんに立ち寄って手にした一冊の角川文庫。ピンク色の帯にパラフィンがしてあるその本のタイトルは「孤独な魂」。作者はヘルマン・ヘッセだった。ふと国語の教科書に載っていた「少年の日の思い出」という彼の短編小説を思い出した。「孤独」という言葉に引かれて、早速その本を購入し、試験が近いにもかかわらず、ページに目を走らせた。不思議なことに、この時、どれだけの感動をしたのか、何を思ったのか、まったく覚えていない。が、ヘッセという作家に興味を持ったことは確かだった。だから、試験が終わるや否や、また、本屋に立ち寄り、彼の作品を購入した。次に手にしたのは、彼の代表作品「車輪の下」だった。この作品を読んだことが、ドイツ文学の道を歩むきっかけとなったのだ。ちなみに、始めに読んだ「孤独な魂」は、岩波文庫からは「春の嵐」というタイトルで出版されていた。原題は「ゲルトルート」 今では、とても懐かしい思い出である。